意見には個人差があります


by mercob
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今年は横浜スタジアムにて見事勝利を収めると、ヒーローインタビューに登場した選手が
「アイラブ ヨコハマー!」
と叫び、祝砲があげられるのが恒例になっている。

筒香など一ミリ英語が話せなさそうな選手が、当初は完全カタカナ棒読み発音で「アイラブヨコハマー」と言わされていたのに、回を重ねるごとに板についてくるのが微笑ましくもあり、頼もしくもある。
また外国人選手の回は「アィ ロゥヴ ヨコハーマ!」といった具合で、
(「ラブ」ではなく「ロゥヴ」なのか!)と、その後しばらく独りごちて反芻してしまう。

アイラブヨコハマ。

単にベイスターズというチームを意味しての横浜というキャッチフレーズではない。
プロ野球のある街、横浜を野球をきっかけに、街全体を盛り上げていこうというキャンペーンだ。

どれだけわたしが「アイラブヨコハマー」とまねてみても、所詮はヨソの人間である。
心をこめて言えている自信はない。
横浜に住む人々にとってこその横浜なのだ。

そんな横浜愛を感じる出来事に出くわした。
横浜スタジアムから徒歩5分ほどの所にある横浜地裁にてである。

主題には特に関係ないが、一応書いておくとそれは先週の金曜日のこと。
わたしは有給休暇を取得し、ナイターのベイスターズ戦を観戦する予定だった。
日中はフリー。それなら試合までの時間は何をして過ごそうかって、裁判を見るに決まっている。

さらにちなみに、傍聴前には横浜地裁の地下食堂でランチをいただいた。
可もなく不可もない、薄めの味付けのお魚の定食。うーん、官公庁の味がする。

さて、たまたまだったのか、いつもこんな感じなのかこの日の開廷数は少なめ。
少しがっかりしながらも(いや、平和でいいことなのだが)「累犯窃盗」の事件を見に行った。

阿蘇山大噴火さんも本で書いていたが、凶悪犯罪よりも、こういう窃盗などの事件の方がおもしろかったりする。ましてや累犯、少し期待できる……などと思ってしまうのが、次第に芽生える不謹慎傍聴ファン心理である。

被告人は50代の男性、細身でやや気弱そうな顔立ちだ。たまにいるザ・ふてぶてしいような被告人ではない。
女性弁護人に「体調は悪くないですか?」というようなことを話しかけられ、弱弱しく笑って受け答えしていたのが印象的だった。ダメではあるが、芯から悪い人間ではないに違いないと単純なわたしはそれだけで思ってしまう。

さて、被告人が問われている罪は窃盗。
昨冬のとある深夜、某事業所に忍び込み、現金や印紙や備品を盗んだ。
はっきり言ってそこまでの被害額ではなかった。

ところがこの被告人、数日後、自首するのである。
理由は寒くて動けなくなったのと、やり直したいと思ったから、だそうだ。
女性弁護人から
「何故自首したのですか? 寒かったと言うけれど、あなたなら、また盗みをしてそのお金でホテルにでも泊まることもできたんじゃないですか?」
などと問われると、
「このままじゃダメだと思って。もう一度やり直そうと思いました」
と答える被告人。

そうか…やり直したかったのか…。うん、50代で厳しいかもしれないけど、がんばっていこう!
わたしは応援している!!

やり直したいと思って自首した、という心意気にうっすら感動すらしかけたわたしだったが、忘れてはならないのがこの男累犯なのだった

裁判が進むにつれて、色々なことが明らかになる。

まずこの事件、仮釈放中におきている。
以前は北海道内の刑務所にお世話になっており、本来は出所後は更生保護施設に入所する予定だったという。
しかし現実として今回の窃盗が再び生じているわけで、何故更生保護施設に行かなかったのかと裁判官に問われると、

「電車に乗り遅れたので」

しーん。

予定の電車に乗り遅れ、訪れる約束の時間に間に合わなければ、入所が取り消されると思ったのだそうだ。
何という自己完結ぷり。何というあきらめのはやさ。

さらには前科の裁判では「仏門に入る」という話が出ていたのだとか。

「前回の裁判ではね、あなたが仏門に入ると言っていたから、その言葉を信じて減刑されていた部分があるのですよ。なのにどうして仏門に入らなかったのですか?」
という裁判官の問いには、

「遠かったから」

しーーん。

一応刑務所内でパンフレットなどを取り寄せてはいたようなのだが、候補寺が和歌山や福井と遠方だったため気が乗らなかったらしい。

「遠かったって……それでやめたんですか?少しは何か行動起こしてないんですか?連絡取ってみるとか」
「いや、連絡先わからなかったんです。それに、刑務所内は手紙とか制限されてるから……」

おいおい、さっきパンフレットは持ってたって言ったじゃないか。そこに連絡先くらい書いてるだろう。
それに何なら○○県△△寺とでも書けば届く可能性もあるだろう。
郵便だって、悪い仲間との連絡のためじゃないんだから、更生のための寺への手紙は許されるだろう。

どうもこの被告人、結局は自分に甘いのである。

仮出所時には8万円持っていたらしいのだが、それは3日で遣ってしまったらしい。
それからは盗みの生活の日々。まっっったく、刑務所に入っていた意味がない。

「出所後、盗み以外でお金を入手したことはないんですか?」
と聞かれると
「あります。パチンコや競馬で」

「あなた、前の裁判の時にギャンブルはやめるって言ってたじゃないですか」
「いや、でも生活のために……」

甘い。あらゆる判断が自分本位で甘いのだ。
ギャンブルは生活の手段ではない。
まあ、この被告人は自らが言うにはトータルで「勝ってる」そうだが。

過去の様々なダメエピソードが披露されるわけだが、重要なのは今後のことである。
仮釈放中の犯行とのことで、実刑は確実だが、では次の出所後にはどうするつもりなのか。

女性弁護人と話し合った結果、横浜の支援施設にお世話になる予定らしい。
横浜の区役所に行って生活の支援を受けたり、きちんと手続きすることを誓っていた。
頼れる友達も親族もいないらしいので、彼を支えられるのは行政だけだ。

「あなたは以前北海道の刑務所にいたのに、横浜に来ていますよね。出所後も横浜に戻ってくるんですか?それは何故ですか?」
弁護人が問う。

被告人が答えた。

「横浜が、好きだから」

不覚にも胸を打たれてしまった。

横浜が、好きだから。

素朴な答えだ。これ以上に説明を求める気にはならない、単純だけど十分な答えのように思う。


二年前に死去した父のことを思い、自分の年齢と余生のことを考えるとこのままではいけないという気持ちが生じ始めたという被告人。
きっと心がけを変えて、やり直すことを誓うならば母なる横浜が港となり、被告人を迎えてくれるだろう。

求刑は5年6ヶ月。ちょっと長い。
判決を聞くことはできないし、ましてや出所後の生活など知る由もない。
だけど、わたしは彼の横浜愛をこれからも時々思い出すだろうと思っている。

アイ ラヴ ヨコハマ。

その日、雨天中止によってスタジアムで聴くことのできなかった横浜愛がここにあった。
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# by mercob | 2014-06-08 23:07 | 日記

変わりゆく我がどちぞ

友人が出演する小さなコンサートに行った。
彼女は会社員として働きながら、ずっとバイオリンを続けている。

彼女は楽器のために外国に留学もしていたけれど、帰国して音楽とは関係のない会社の勤め人になった。
わたしには音楽業界のことはまったくわからないし、彼女とキャリアについて語り合ったわけでもないけれど、
勝手に想像するに、今に行きつくまでに様々な葛藤があったろうと思う。
クラシック音楽だけで食べて行けるような世の中ではないのだ。
でも、彼女は働きながら、時々こうした演奏会に参加している。心底偉いと思う。

今回お呼ばれしたミニコンサートはバーのようなところでおこなわれたのだが、
わたし以外にも共通の友人があと二人来ることになっていた。皆、女子校の同級生である。
仲間内で一番の天真爛漫娘であるA子が「みんなで待ち合わせして行こっか??」と声をかけてきたが、わたしは断った。
日中は甲子園球場で野球観戦の予定があったし、ギリギリまで気ままに街をうろつきたい気分だったのだ。

その日の試合はたまたま『レディースデー』のようなイベント日であり、『女性の方にだけ特別にプレゼント』というタイガースの応援フラッグが配られていた。
だけど、ベイスターズを応援していたわたしには必要のないものだった。
一度も振ることなく巻かれたままの黄色い旗は背中のリュックから飛び出していた。
野球観戦後の格好そのままで演奏会会場のバーに到着すると、既に九割くらいの席が埋まっていた。
普段接することのないような上品な老紳士たちが中央テーブルに集っている。

何だか途端に自分が恥ずかしくなってしまう。わたしは汗臭くないだろうか。
いい年してリュックなんて背負って。恥ずかしい。
壁際の席に先に到着していた友人B子の姿を見つけ、慌てて駆け寄った。

でも、あれ?

違う、B子がいつもと随分違う!

今まではもっと髪が短くって、黒っぽいビジュアル系みたいな服を着ていたB子がすごくお嬢さんお嬢さんしているのだ。
伸びたサイドの髪は後ろで括って、残った後ろ髪はおろしている。
はーふあっぷ?という髪型だろうか(ちなみにはーふあっぷ、という言葉は『ありがとう浜村淳です』の中で聴いて覚えた)。

B子は赤いワンピースを着て、穏やかな表情で腰かけていた。
ブランドはわからないけれど、きっときちんとしたところで買ったのだろうと思われるような洋服だった。

そうだ、B子は婚活を始めたのだった。
親の熱心な勧めによって、結婚相談所に入会をしたのだ。
カジュアルな婚活パーティの類ではなく、親が調べてきたきちんとしたところに入ったようだ。
今日のこの出で立ちもその一環なのだろうか。これからずっとこんな服装をするのだろうか。

やや動揺して、わたしは「いつもと違うね」くらいのことはコメントしたと思う。

彼女の横に座りながら、B子の顔の一部が少し変色していることに気づいた。
店内の照明が暗いこともあり見えにくかったのだが、(ははあん、化粧をうっかりこすって変になってしまったんだな)と思った。
まあよい、大した問題ではない。わたしはそんなことをわざわざ指摘するようなタイプではないので、B子の顔の不自然な箇所については以降気に留めることなく、ドリンクメニューなどを眺めた。


……高い。

ソフトドリンクですら850円もするのだ。
ここは六甲山の山頂の喫茶店か(※行ったことない上に、あるかも知らない)。

ここに集う人々はこの料金設定については痛くもかゆくもないのだろうか。
店内にはオーナーらしき女性もいたが、金銭的に苦労をしたことのないような柔和な表情をしている。
一番頼れる身近なB子も人が変わったようにしおらしくお上品にたたずんでいる。
そうだ、もともとB子はきちんとしたおうちの子なのだった。
身なりを少し整えただけで、潜在的な育ちの良さは隠しきれず、あふれ出てしまう。

わたしは場違いなのでは……。野球観戦で昂ぶっていた心が、すん、と小さくなってしまう。

開演のギリギリになって、もう一人の友人A子が到着した。
A子は椅子の下に置いたわたしの大荷物を見て、「ほんまに野球のあとに来たんや」と少し笑った。
事前に少し得意げな気持ちさえあって、「野球の後に行くから」と告げていたのに、わたしは何だかそれ以上触れられたくない気分になった。

わたしはリュックの置き場所を少しずらして、A子に席をあけた。
B子とわたしの間の席に入ってくるなり、A子は
「Bちゃん、それどしたん」と言った。

何の話だろう、とちらっと二人を見ると、

「これな、ホクロとってん」との言葉。

「えっ!!」

と、驚きのあまり声を発したのはわたし。

何だかもう色々とびっくりだ。
ためらうことなく、友人の顔の違和感を指摘するA子と一切触れなかったわたしとの差にも我ながら驚くし、
「親に気になるから取れって前から言われててん」と説明するB子にも驚く。

まだ除去手術から完全に回復していないから少し変になっているらしいのだが、言われてみれば、B子の顔の変色している箇所には以前ホクロがあったことを思い出した。
それも婚活のためなんだろうか。
顔にホクロがあれば、異性との付き合いに不利になるのだろうか。
結婚相談所の男性は「ホクロがちょっと……」と交際を断ってくるのだろうか。

というか、自分がすごく気になってコンプレックスだからという理由なら除去しても構わないとは思うけれど、娘の顔のホクロに口出しする親って何なんだろう。
いや、人の家庭のことなのでわたしがとやかく言うことではないのだけれども……。

演奏が始まった。

楽器を弾く友人は胸元から腰のあたりまでは光沢のある白い生地で途中からはブルー地の花柄で切り替えになっているデザインのドレスを着て登場した。
わたしはそのドレスがとても素敵だな、と感じ、後でそのことを彼女に伝えようと思ったのだが、
隣に座っていたA子は「あのドレスじゃない方がいいのに」とぼそっと言った。
……感性が全然違う。
「そんなことないよ、わたしはいいと思うよ」と、少しむきになって反論した。

中学高校と6年間、毎日のようにおしゃべりをして笑い合っていたのに、わたしたちはこんなにも違っていたのだ。
そりゃそうだ。もう高校を卒業してから随分と月日が経っていて、お互いがお互いを見ていない時間の方が圧倒的に多い。友達が現在付き合っている他の友達のことなんてわたしは知らないし、友達の仕事のこともわからないし、日々何に喜びを感じ、何に悲しんでいるかも、知るところではない。

演奏の間にこっそり聞いた。
「わたしはクラシック音楽のこと全然知らないのだけど、二人は何を思いながら聴いているの?」

「この場面を弾くの得意そうだなあ、とか」と、A子。
「この音楽はどういう芝居に使えそうかなあ、とか」と、B子。

うーん、二人ともなかなか、いい鑑賞の仕方をしているのではないか。

わたしは、といえば、時折今日の福留の打席のことなんかが脳裏にちらつきながら、でも、わたしは友達の人生のことを考えていた。

働きながらも自分を表現する場を設け続けていたり、わたしとは全く異なるコミュニケーション方法で人と接していたり、人生の伴侶を探す一歩を踏み出していたり。
みんな、それぞれの人生を歩んでいるのだなあ、と考えていた。

じゃあ、わたしは? と考え込むと、途端に巨大な不安の暗闇に襲われ始める。

きっと他のみんなから見たら、わたしはわたしで好きな人生を歩んでいるように見えるのだろう。
だけど人の芝生はなんとやらで、わたしからすると友達が一足先に変わりゆくようで、自分だけが取り残されてしまうような焦りと不安に駆られてしまう。

みんな、変わっていく……でも、わたしはそれを見守ろう。

そう思いながら、ふと、B子の方を見やる。

ぐら、ぐら、ゆら、ゆら。

……舟をこいでいた。きれいに化粧をした横顔が、途端に幼く見えた。

ああ、変わらないなあ。

わたしは少し、安心したのであった。
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# by mercob | 2014-05-27 23:33 | 日記
ここ一ヶ月ほど、水筒が欲しくて、雑貨屋さんやロフトやらを頻繁に彷徨っていた。

スタバにタンブラー等を持参して入れてもらうと、20円引きになるそうなので増税対策的に是非利用したいと考えはじめたのだ。

一応五年ほど使ってる水筒を持っているのだが、コンロ近くに置いていたために熱で一部変形してしまい(※危ない)、スタバに持参するどころか、職場で使うのもやや気が引ける代物になっている。

スタバに持って行っても恥ずかしくない水筒が欲しい。
それでいて、平凡な誰でも持ってるようなものじゃなくて、これだ!というデザインの水筒が欲しい。
機能がしっかりしていれば大量生産されている無難なシンプルな水筒で良かろうとも思うのだけれど、ちょっとした日用品にアイデンティティのようなものを求めてしまうのだ。

だけど、理想の水筒にはなかなか巡りあうことはできない。

何気なくネットで野球画像を眺めながら、(あー、野球系の水筒売ってたらいいのにー)と思う。
球団グッズとしては球団のマスコットキャラや背番号デザインのマグカップは見かけるものの、水筒ってグッズ展開があまりな……

( ゚д゚)ハッ!

そうだ!


自分で作ればいいんだ!

テテテッテ テッテテ♪
テテテッテ テッテテ♪
(キューピーの料理番組のイントロ)

それではオリジナルの水筒を作ってみましょう。

①まずAmazonで象印の水筒を注文します。ここに既に届いたものが用意してあります。ティンカーベルのイラストが描かれていますね。

a0235136_0112465.jpg


②実際は届くまでに1〜2日ほどかかるので、その間にお気に入りの野球画像を探します。わたしはネットでダウンロードしましたが、雑誌の切抜や自分で撮った写真やら、何でも構わないでしょう。

③ダウンロードした画像をUSBに入れて、コンビニのコピー機へといそいそとニヤニヤと向かいます。
わたしはプリンターを持ってないのでこうするしかないのですが、こんな作業、自宅でできるにこしたことはありません。

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↑画像例

④画像を用意できたら、水筒を分解します。
今回の作戦の最大のポイントはここです。この水筒は着せ替えができる水筒なのです。
ティンカーベルは不要なので、既製品台紙を即外します。

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⑤で、で、で、最後に自分で用意したプリントを台紙としてセット!

オリジナル水筒です!
オリジナル水筒ができました!
「ハマスタで売れる!」と友達一人から評判の声!
a0235136_0182375.jpg


どうです?いかがです?


…やばい!これはすさまじく満足度が高い。
いくらでも中の台紙は替え放題。
毎日先発投手にあわせて入れ替えるなんてのも楽しそうだ。そういう遊び心に職場の人は気づいてくれるだろうか。

球場に持って行ったりすれば、「それ、どこで買えるんですか?」と聞かれそう。その時は得意げにオリジナルなんです、と答えよう。

うむ、想像しただけで楽しい。

そして、こんな台紙も作ってみた。

a0235136_2258164.jpg

デデーン、デンデンデデーン

ノリ水筒!!

四番で五試合連続タイムリーヒッツに興奮して作ってしまった。
うう、かっちょいい。

よし、しばらくはこれでいこう。
ノリ水筒と出勤し、ノリ水筒で節約していこう。

これをスタバに持って行けば……
20円引きの代償に、ノリ水筒女などというあだ名をつけられる……かも(・∀・)!
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# by mercob | 2014-04-25 23:45 | 野球のこと
卓上カレンダーを何度もめくっては戻り、まためくる。
土日の欄とにらめっこして、それから生活費のことを考えて、うーん……と何ヶ月かを行ったりきたり。
6月じゃ先過ぎる。4月、遅くても5月には。

三月の今、小物入れの棚の上では荒波がバットを振っている。
昨年の11月、横浜スタジアムで催されたベイスターズファンフェスティバルで購入した卓上カレンダーだ。

何年か前の3月の壁には田中賢介がいたように思うが、いやはや、何とも、恥ずかしい話である。

中畑体制のベイスターズに関心を持ってはいたが、以前のわたしは確実にファイターズの応援をしていた。
昨年2月は仕事を辞める直前だったこともあり、沖縄キャンプ旅行を真剣に計画していたが(結局行かず)、
一軍と二軍、どちらに行けば斎藤に会えるかを考えていた。

ところが、今年の球春到来。
野球情報収集時間の7割がベイスターズに充てがわれているのが現状である。

つくづく思うのは、
身近に仲間がいるかどうか、が野球を応援しつづける要素として非常に大きい
ということだ。

そう、すべては鉄子さんなのである。
昨年オープン戦でベイスターズ対ソフトバンクを観戦したのが、人生における野球観戦2回目だったはずだ。同行したわたしは、その時は彼女の瞳の中に生まれた星の煌めきに気づいていなかった。
根がハマり性で、かつハマっ子というのも後押ししているのだろう。
彼女は完全にベイスターズファンと化してしまった。もはや、ベイ子さんである。

5対0。

何の数字かというと、ある日のオープン戦の結果……

ではなく、今年に入って球場へ行った回数。ベイ子さん対わたしだ。
5、がベイ子さん。0、がわたし。

何ということだ。

昨年の夏頃に、
「ファンクラブに入るのはどうですか?」と持ちかけたわたしに対し、
「いや、そこまでは……」というように消極的な姿勢を見せたベイ子さんは

「一年の計は元旦にあり!」と宣言し、元旦にベイスターズファンクラブに入会した。
すごい心意気である。

そしてファンクラブ会員はオープン戦無料という特典をフルに活かし、ベイ子さんは球場に通い詰めている。
自宅とスタジアムがある最寄駅までの電車の回数券も購入したそうだ。
わたしには京セラドームへの回数券を買うなんていう発想はなかった。

……くっ、わたしも負けてはいられない!!!!!

対抗心と言うよりは、良き仲間として影響を受け、気持ちが昂ぶったわたしはある日の平日に有給休暇の申請をした。
ほっともっと神戸で神戸で行われるヤクルト対ベイスターズを観に行こうと決めたのだ。
何故在京二球団が関西、しかもサブ球場で試合をするのか。ましてや平日に。
客入りは悪いはず。だからこそわたしはあえて行かねばならない、そう思った。

わたしはベイ子さんに観戦予定を告げた。
<明後日試合観戦に行くことにしました♪ローテ、順当に行くと先発は加賀か三嶋ですかね☆>

ベイ子さんから返事が来た。
<加賀は8日にファームで投げていますよ>

えっ!!!!!!!!!!!
加賀はファーム!!!??

つ、ついにベイ子さんの情報がわたしを上回るようになってしまった!!!!

もうダメだ……

衝撃を受けながら、ベイ子さんのメッセージを読み進めた。

<三浦投手が先発する可能性もあるかもしれませんよ>

はっ! 番長は昨日教育リーグで5失点してたー! だから明後日の先発はないー!
ベイ子さんはまだ知らないー! セーフ、セーフ! わたしの野球情報量セーフ!

しかし結果として、この日は大雨で試合が中止になってしまった。
よってわたしは今年まだ一度も野球を観ていない。
冒頭のようにカレンダーとにらめっこをしているが、なかなか関西での試合日程が合わない。
遠征しない限り、4月中にも観るのは困難そうだ。
その間にもきっとベイ子さんは観戦回数を重ねることだろう。

弟子が師を超える日も近い。

その日を覚悟しながら、今日も番長ブログごっこをしながらわたしたちは開幕を待つ。

わたし<ただいま……スタバで……カプチーノ……昼休み!>
ベイ子<三浦投手からのメッセージかと錯覚しました>

ベイ子<私は……東京に……いるで~……ガ・ン・バ・レ!>
わたし<いるで~の部分が三浦投手のゴーストライターのような関西弁具合です!>

褒め合い……
励まし合い……
高め合う……
応援仲間がいる!

ヨ・ロ・シ・ク!
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# by mercob | 2014-03-22 21:02 | 野球のこと

法と人形劇

わたしは、
ツイッターでプロポーズ計画を公表している見知らぬ男に対して、(ゲリラ豪雨でも降って盛大に失敗すればいいのに)と負の感情を抱くような人間ではあるが、
同時に休日に自転車に乗って人形劇を見に行くというメルヘン&ファンタジーな大人でもある。

そしてファンタジーな人間であると同時にまた、裁判や凶悪事件や刑務所の情報を集めるという一般的には不気味がられる趣味も持ち合わせている。

有資格者でもなく学位もないただの素人なので、専門家として適切な答えは出せないのだが、いかんせん関心が強く、最近では何をするにしてもこの法的なバイアスが生じてしまうのが若干の悩みである。

いちゃもんをつけるつもりはない、偉そうなことを言うつもりもない、わざとひねくれて見ているわけでもない。

が、人形劇を観ながらも、色んなことが気になってしまう。

先日のことだ。

『もしもし、こちらオオカミ』という人形劇を観た。原作は児童文学のようだ。

主人公は小六の女の子であだ名は『カックン』。アル中っぽく乱暴者の母と、金をちょろまかす、うだつがあがらない父、よく泣く弟と暮らす。もちろん演出なのは百も承知だが、この母がモノを投げたり、殴ったりするシーンから物語は進む。

もう冒頭から物語に集中できず、気になってしまう。
家庭環境である。
凶悪事件を起こす人たちは幼少期、家庭環境に恵まれないことが多い。
そんな本をいくつも読んだ。

殴られて主人公や弟が空高く飛んでいくシーンで他のお客さんは笑っているが、わたしは心が痛むばかりである。これは児童相談所などに行って、第三者に仲介してもらって、親子関係を改善した方がいいのではないか。母が酒を断てるようになるまで、一旦別居し、しばらくは面会という形を取った方がいいのではないか。

それからもうひとつ。
カックンはお気に入りのぬいぐるみを持っていて、ぬいぐるみに対して家の不満を語る。
これまた問題行動である。
テレフォン人生相談に電話をして「小六の娘がぬいぐるみに語りかけるのをやめない」と相談してもおかしくないレベルである。

生育環境がはなはだ心配である。

と、わたしの心配もあながち的外れではなく、主人公のカックンもさすがに「こんな家は嫌だ」とある日家出をする。

家出をしたカックンは少し離れた町のスーパーで中年男性が万引きをしている姿を目撃する。
そこでひらめいたカックン、なんと

「万引きを警察に言うつもりはない。ただしバラされたくなければ、わたしを誘拐したことにして、家に脅迫電話をかけろ。お前も金に困ってるんだろ、身代金を要求すればいいじゃねえか」

と持ちかけるのだ(※もちろんこんな口調ではない)。

な、なんという娘だ……大人を脅迫するとは末恐ろしい。
見知らぬ大人の男性にこれほど強気に出るというこの性格。
おそらく乱暴者の母譲りだろう。嫌だと思っても、知らず知らずのうちに似てしまうのだ。

それに気安く言ってくれるけれど、身代金目的の誘拐は罪が重い。無期懲役の可能性もある。おっちゃんは誘拐とは関係ないが、既に万引きをしており、これまでにも窃盗をしていた可能性はある。罪を重ねていれば心証は悪い……。この小娘はコトの重大さがわかっていない……自分は無傷で終われるだろうが……いや、おっちゃんだって大人だ。いい人に見えてもいつ豹変するかわからない。カックンだってどうなるかわからない。さあ、その強気な偉そうな姿勢を改めるんだ……!

ハラハラしてわたしが見守る中、おっちゃんは強気なカックンに丸め込まれて、ついに公衆電話から身代金を要求する誘拐宣言の電話をしてしまう。

もうダメだ……。

もう警察を敵に回してしまった。もう未遂ではない。

しかも最悪なことに、公衆電話から電話をする前に、通りすがりの女性とパトロール中の警官にその姿を目撃されてしまっているのである。
聞き込みなどをされれば、捜査線上におっちゃんが浮上するのも時間の問題だ。
目撃された時点で計画は中止すべきなのだ。
おっちゃんは逮捕されてしまうだろう……おっちゃんが手錠をかけられる姿が目に浮かぶようだ。


が、もちろん児童文学なので、おっちゃんが逮捕されて終わり。という風にはならない。

以下はネタバレになるのだけれど、

最初主導権を握っていたのはカックンだったが、徐々におっちゃんが自分で計画を進めるようになる。
戸惑うカックン。そしておっちゃんは、もう誘拐を中止にしようと言い出す。
お別れの前に最後に二人で喫茶店に入り、そこで明らかになるおっちゃんの悲しい思い出話。

カックンは家に無事戻る。
警察に誘拐犯のことを尋ねられるが、おっちゃんとは似ても似つかぬ人物像を語り、決しておっちゃんのことはバラさないのであった。

めでたし、めでたし……。



いや、

果たして小六の女の子が本当に警察をだましきれるだろうか。
警察の威信をかけて、誘拐犯を検挙しようとするのではないか。
カックンが嘘をつき通したとしても、何せ公衆電話で目撃されているのである。
おっちゃんに捜査の手が及ぶのは時間の問題ではないか。

心配である……。


家に帰ってわたしは少し調べてみることにした。
誘拐は罪が重いと聞いていたが、未遂に終わっていることもあり、何とかおっちゃんのムショ行きを食い止める方法があるはずだ。

【誘拐 判決】[検索]ポチリ

おお、誘拐でも執行猶予の例もある。よかった! 

そして念のため刑法で調べてみる。

やはり、身代金目的の誘拐は無期又は三年以上の懲役だが、
おっちゃんにとって救いになる条文もあった。
公訴が提起される前に誘拐した者を安全な場所に解放すれば、刑は減軽されるようだ。よかった。

一方、営利、わいせつ、結婚等の目的の誘拐というものもあり、一年以上十年以下の懲役。
しかもこちらは親告罪。仮にカックンとおっちゃんの誘拐が後者であれば、カックンさえ告訴しなければ罪には問われないようだ。

なるほど……非常に勉強になる。


随分と余計なことばかり考えてしまった。
専門家ではないので、自分勝手に調べた結果が正しいのかわからず、
まだ不安も残るが(まだあるんかい)、何はともあれハッピーエンドだ。
おっちゃんがまっとうな道を歩んでくれることを願うばかりだ。

そして、わたしは物語の良さを台無しにするようなことをたくさん書いてしまったが、
人形劇自体はもっと明るくって楽しいものだ。
人形の表情も魅力的だし、関西弁も生き生きしていた。

なかなかどうして良い休日を過ごしたように思う。

皆さんもよければたまには児童文学や人形劇に触れてみては。
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# by mercob | 2014-01-11 20:45 | 日記